概要
「千尋は、俺が斬る」剣奇小説の幕開けから結末へ。
剣奇小説とは、剣/刀の宿す奇なる“もの”と、それに抗(あらが)う人の奇縁とを、相応の文体で語る奇譚である。
[カクヨムコン短編部門参加作品を改稿し、連載版として錬十郎、浄心、千尋と剣(刀)にまつわる奇なる因縁との始まりから結末までを語ります]
――その声を聞けば、我が身は揺れる――
平家一門が壇ノ浦に沈んで間もない頃、兄の打った刀を持って行方知れずになった従妹を探す錬十郎は、伊予国桜井村で幼い僧の浄心と出会う。四国八十八ヶ所を巡る浄心だったが、「次の札所・伊予国分寺への道を通る者はみな、平家の落武者・平征重(たいらのまさしげ)の刀を持った女に斬られて命を落とす」と村人から聞かされる。女の正体を確かめるため、あるいは満願成就のため、国分寺への道をたどる二人だったが、征重の真実と浄心の言葉をきっ
[カクヨムコン短編部門参加作品を改稿し、連載版として錬十郎、浄心、千尋と剣(刀)にまつわる奇なる因縁との始まりから結末までを語ります]
――その声を聞けば、我が身は揺れる――
平家一門が壇ノ浦に沈んで間もない頃、兄の打った刀を持って行方知れずになった従妹を探す錬十郎は、伊予国桜井村で幼い僧の浄心と出会う。四国八十八ヶ所を巡る浄心だったが、「次の札所・伊予国分寺への道を通る者はみな、平家の落武者・平征重(たいらのまさしげ)の刀を持った女に斬られて命を落とす」と村人から聞かされる。女の正体を確かめるため、あるいは満願成就のため、国分寺への道をたどる二人だったが、征重の真実と浄心の言葉をきっ
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!実在した歴史人物や史実をも呑み込む圧倒的筆致
刀に身も心も喰われ未だ何処かをさ迷っているだろう"千尋"と、苦過ぎる後悔と憎しみとそれをおそらく遥かに凌駕する情愛に翻弄されながら千尋を追う"錬十郎"、他人の黒い情念や過去を映像として映し出せるという業を抱えながら錬十郎に従う幼き僧侶"浄心"の物語、連載第二回。
この回は、実在した鎌倉時代の坂東武士、佐々木盛綱("鎌倉殿の13人"を観た方々は「あー!」と思い当たるのでは)が登場します。人の命が今より軽く扱われていた時代の事でも、史実として伝わるほど人でなしのエピソードが残る人物。没年不詳なこの人が、人喰い刀とその周辺人物たちにどのように関わっていくのか。ワクワクしながら一気に読めてしまう傑作…続きを読む