怨霊プリズン-忌み地に建つ呪われたマンション-

人の咎を題材にしたサスペンスホラー。
後半の怒涛の展開は、見るものを引き込む魅力ある内容です。
そのような中にも筆者の遊び心が垣間見えるところがあって
こわっ！とおもろっ！が同居している類い稀なる作品でした。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（418文字）

ある特殊な閉鎖空間でなにかが起こり、そこから脱出するパニックホラーと土地や人間の因果が祟るホラーの正統派かつ贅沢なコラボレーション。

土地の呪い、人の業（ごう）が複雑に絡まり合って「呪いの空間」を生み出して行く前半、そこに囚われた人々が脱出を図る後半。

超常の存在も、人間もキャラが立ってるところ(いわゆるやられキャラを含めて）など、細部まで楽しめるように描かれている。

前半、人の業を思い知らされる「だれしもが穢れている」陰鬱で息詰まる展開ながら、その作り込まれたキャラ設定によって、ラストは爽やかな読後感。
ホラーエンタメが満喫できる作品です。

まずは惜しみなく繰り出されるホラーなエピソードの波状攻撃。
気がつけば筆者の手中で転がされている、その心地よさ！ ですよ。

群像劇って、書き方としてはものすごく難しいと思うのです。
短編を繋げただけじゃ長編としての豊かさは出てこないですもんね。
本作はその辺がちゃんとしているうえ、テンポが早いから、ついつい時間を忘れて読んでしまいます。

各エピソード、突っ込みすぎないで流すところはさらっと流し、重くなりすぎていないのも本作の特徴です。
そして、誰にでも分かりやすいイメージ。
読みやすい文章。
万人が理解できて、万人が楽しめる。そういうホラーって意外に少ないと思うんですけど。本作はそういう…続きを読む

絡み付くような人間の悍ましく厭な部分。
それらが徐々に寄り集まって行くようなストーリー展開に、背筋がぞくりとします。
おとずれた閉鎖空間での惨劇や、そこへ至る因業。

とても面白かったです。（怖かった……）

ラストの切り口も素敵で、おすすめの作品です。

サブタイトルそのまま、「忌み地に建つ呪われたマンション」のお話です。
知らずと住んでいた呪われたマンションで巻き起こる怪異から、住人たちは逃れることができるのか。

登場人物が多く、視点の切り替えが多いため、初めは少し混乱するところがあるかもしれません。
ただ「ソレ」が始まった瞬間から、怒涛のように興奮の連続がやってきます。

ザ・ホラー。夢中でページをめくるあの感覚。
クールな中国人が活躍するアクションもらしさ全開でした。

捕らわれた当人たちの視点だけでなく、外部からの支援や情報提供によって、より全体像が掴みやすくなるところも上手いです。

生き残るのは果たして誰か？

あなたが住んでい…続きを読む

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（592文字）

綺麗で間取りも良し、相場よりお安めに買えるお得な物件だけど、なぜか空き部屋多数——……
そのマンション、大丈夫ですか？

序盤から綴られていくのは、マンションの住人たちの日常です。見事なまでにいろんなタイプのダメ人間が揃っており、それだけでもちょっと避けたい物件だなと思えます。
夜中に聞こえる謎の異音に始まり、少しずつ、しかし確実に、住人たちを蝕んでいく怪奇現象。
実は曰く付きの立地だったマンションは、我々読み手の期待が最高潮に達したころ、阿鼻叫喚の地獄と化すのです。

人間模様がとってもリアル。人間の嫌〜な部分をたんまり覗き見できます。
説明のつかない謎現象はそんな住人たちの闇を更に際立た…続きを読む

皆様の周りにもあるかもしれません。
なぜかは分からないけれど忌まれ避けられる地、あるいは建物。
もしそれが大勢の人が住むマンションであったなら……。

突如、起こり始める怪奇現象。
人々の中で少しずつ大きくなる心の闇。
そして加速度的にそれが膨らみ、やがて暴発する。

はたして彼らはその禍々しい怨霊たちから逃れることができるのか。

鬼才、神崎あきら氏が放つ渾身のホラーストーリー。

あなたも少しだけ覗いてみませんか。
この哀しくも悍ましい牢獄を。